恋するつぶやき

恋する不安が少しでも落ち着きますように。彼のキモチと彼女のココロについてつぶやくブログです。

カテゴリ: 眠れない夜には

会いたいな
声がききたいな
こんなとき
そばにいてくれたら
手をのばせば届くところに
いてくれたらいいのにって

そう思うことはあるし

思っても叶わないから
寂しくなることもあるし

それってなんなの
そんなのって恋人なのって
考えてしまうこともあるし

そんなあれこれに
胸が押されて

隙間風の吹く
からっぽの心で
うつむきながら
とぼとぼと歩く帰り道も
ある。




思わず笑っちゃうようなことは
笑顔で目を合わせたいし

おいしいものを食べたり
いつものお酒で乾杯したいし

折れそうなときは
大丈夫だよって言ってほしいし

寂しいときは
そばに引き寄せて抱いてほしい。

悲しみが浸みてきて
どうしようもないときには

ただ黙って手をとって
ぎゅっと強く握って
離さないでいてほしい。

いつもみたいに。
あのときみたいに。





求める気持ちや
欲しがる気持ちは

いつだって
こんなにもたくさんで

一日のあいだに
何度も何度もくり返し

降り積もるように
溢れる出るように
心をいっぱいにして

それはたしかに
叶えたい願いではあるけれど

だけど
ほんとうに望むことは
たったひとつ、



わたしを思い出して。



忙しくて連絡できなくても
まだ会えなくても
さわれなくても
触れられなくても

目を見て笑い合えなくても
気持ちをたしかめ合えなくても

今すぐには
何もできなくても




わたしを思い出して。




責務を背負い
時間に追われ
立場に挟まれ
プレッシャーに押し潰され

目の前のしごとを
何とかこなしていくこと以外に

何も感じられなくなって
心から笑うことがなくなって
先のことなんて
どうでもよくなってしまった、

そんな一日のおわり

まぶたを閉じて
あっというまに眠りに落ちる
その
ほんのわずかのその瞬間に

どうか
私を思い出して。





彼がわたしを思い出す
その気持ちが

そばにいられないわたしのかわりに
彼を包み込むことができたら

疲れ果てた彼が
あたたかな気持ちで
眠りにつくことができたら

また明日も頑張ろうと
力を与えることができたら

そんなふうに
彼が
わたしを思い出してくれたら

きっと

彼の心に
わたしがいる。

わたしの心に
彼がいるのと同じように。





だからどうか
わたしを思い出して。 



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彼の海の
潮が引ききって

その海底からあらわれた
小さな孤島を

彼女は見た。

あの満月の
大潮の夜。




強く抱きしめた彼が
安心したように
大きく息を吐いた夕暮れ

二人でシーツにくるまって
くすくす笑いながら
触れ合った夜明け

言葉もなく
ただ手を繋いで歩いた別れ際

そのとき
彼の心にあらわれた孤島を

彼女は
たしかに見た。




パステル色の珊瑚礁が
繊細に広がる浅瀬

マングローブが根を張る
透明な水辺

入り江を覆うように茂る森の
いちばん立派な樹の上には
ツリーハウスの秘密基地

鳥たちのダンス
小動物の運動会

浜辺には
古びたボートと壊れたオール

ひっそりと人の気配はなく
寄せる波の音
木の葉がすれ合う音

いのちの輝きに溢れた
その島の反対側には

たぎるマグマの熱を抑え
おごそかに沈黙する活火山

豊かで大らかな
優しく甘やかな
無邪気で明るく
寂しく孤独で
世にも美しい

そして
恐ろしくもある

彼の孤島。




その島は

ふだんは
彼の心の奥深く、
暗く冷たい深海に眠っていて

誰にも見つかることはない。
誰にも見せるつもりはない。

だけど
彼女に恋をして
心を許した
あの大潮の夜、

彼も気づかないうちに
あっというまに潮が引き

心の底に
沈めていたはずの孤島が

彼女の前に
忽然と姿をあらわした。

彼女は
きっと
それを見た。




あれから

潮は満ちるばかりで
引くことはなく

彼のあの島は
今や
影も形もなくなってしまった。

彼女が
船の上から
必死で身を乗り出し
どんなに目をこらしても

深い藍色が続くばかりで
彼の孤島は見つからない。

沈黙する彼の海で
ひとりぼっちで残された彼女は

しけが続けば
あまりの荒波に
船酔いのような不安に苦しみ

凪が続けば
あまりの静けさに
漂流するような絶望に襲われる。

なのに
岸に戻る決心ができない。

もう少し探したら
見つかるかもしれない
また現れるかもしれない
そう思って
待ってしまう。

あの美しくも寂しい
怒りを秘めた
小さな島、

あれはきっと
彼のほんとうの心だった。

そう思えて

どうしても
どうしても
忘れられない。





あのとき

小さな島があらわれた
あの大潮の夜、

どうしてもっと
彼の心を大切にできなかっただろう。

壊れやすい珊瑚礁に
踏み込もうとしてしまった。

ツリーハウスの秘密基地を
無理に暴こうとしてしまった。

鳥たちの大らかさにも
小動物のにぎやかさにも
いちいちケチをつけて

聞きたいことだけを
もっと言って
もっともっとって
何度も確かめるだけで

さざ波の音も聞かず
葉ずれの音に耳を澄まさず

どうしてあんなに
不安な顔を
見せてしまったのだろう。

どうしてあんなに
寂しがってしまったのだろう。

どうしてもっと
素直によろこべなかったのだろう。
心から感動できなかったのだろう。

あんなにも
美しい島だったのに。





不安げで寂しがるばかりの
彼女の表情を見て

彼は何を思ったのか

珊瑚礁が傷つくことを
恐れたのか

その島が醜いせいだと
自信をなくしたのか

島の裏側の
活火山の存在を知られたと
恥じたのか

とにかく彼は

深い海の底に
前より深い無意識の底に
島を沈めてしまった。

もう二度と
島があらわれないように。

島なんてどこにもないって
最初から
全部なかったことにするために。





潮はもう引かないかもしれない。

彼の海は
満ちるだけ満ちて

あの島は
まぼろしとなって
海の藻屑と消えたかもしれない。

それでも
これだけは間違いなく言えること、

「彼女は確かに見た」。





彼女だけが
確かに見たのだから
知っているのだから 

もう一度見せてと
必死で探すのじゃなく

また潮が引くように
泣いてせがむのじゃなく

ただ
伝え続けることはできる。

あの島が
彼の心に沈む小さな孤島が

どれほど美しかったか
どれほど
いのちの輝きに溢れていたか

語りかけ続けることはできる。




もうあの島が
姿をあらわすことはなくても

彼の海に
心の深い深い奥底に

今も
あの美しい島が眠っていると
信じることができれば

彼に 
その美しさを
伝え続けることができれば

いつかまた
大潮の夜が巡ってくることも
あるかもしれない。

潮が引いて
島があらわれることも
もしかしたら
あるかもしれない。

そしたら
そのときは
今度こそ

静かに微笑んで
心からの感動を伝えられれば

欠けた月が
また満ちはじめる。

止まっていた時間が
きっと動きはじめる。
 

そういう風に思います。


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もしも願いが叶うなら
どんなことでも
叶えてあげると言われたら

欲張りなことは言いません
高望みなんてとんでもない
決して贅沢申しません

私の願いはただひとつ、
ずっとずっと昔から
今も変わらずただひとつ、

「好きな人と幸せになりたい」

たったこれだけ、
慎ましやかにささやかに
胸に抱いて生きてきた



願いを叶えるためならば
どんな努力も惜しみません

まずは見た目を磨きます
出会いこそ 夢を叶える第一歩

自分の趣味はさておいて
男の好むメイクと服でそれらしく
 
派手すぎず目立ちすぎずかといって
地味すぎず野暮ったくはなりすぎず
ネイルはあくまで控えめに
髪の巻き方はほどほどに
 
いわば女子アナみたいにね

飲み会 パーティ 婚活サイト
袖振り合うも多生の縁
間口は広めに開けてます

出会ってLINEしてデートして
「うちに来る?」
といかにもその気で誘われて

努力が大事ってわかってます
出会いが肝心とわかってます

だけど最近なんだか少し
疲れてきちゃったみたいです





願いを叶えるためならば
勉強だって怠りません

男性心理を徹底的に学びます
長続きこそ 夢に近づく道だから

自分の感情はさておいて
男が欲しがる愛情を
欲しがる形で準備して
 
してくれたことにありがとう
してくれなくても不満なく
尽くしすぎには要注意
会ってるときはごきげんに
冷たくなったら放っておく
 
居心地のいい彼女でね

信頼 尊敬 感謝に評価
男をとことん理解して
ダメ出しなんてもってのほか

連絡したいの我慢して
やっと会えたらそのときは
とびきり可愛くセクシーに

勉強しなくちゃと思ってます
居心地の良さが何よりと思ってます

だけど最近なんだか少し
くたびれちゃったみたいです





出会いにいまいち恵まれず
付き合うまでがハードルで
付き合ってからも茨の道

自分磨き?
持って生まれた欠点以外は
怠ってないつもりです

男性心理の研究?
今すぐそらで言えるほど
頭に心に叩き込んでるつもりです

だけど
これという相手に巡り会えません
なかなか好きだと言われません
彼の気持ちがわかりません
愛されてるとは思えません
 
自信なんて
これっぽっちもありません
 
連絡が減ればたちまち不安
言葉と態度にふりまわされて
デートの後は反省点でいっぱいです





あきらめたわけじゃないけれど
ちょっとひといき入れようと
 
その場に座って両手をついて 
しばらく頭をからっぽに

空を見上げてみたくもなる

〈山のあなたの空遠く
 幸い住むと人のいふ。〉

山のあなたってどこだろう
疲れた心で考える

幸せって修行です
幸せって求道です

ただ幸せになりたくて
がんばってきたつもりだけれど
〈山のあなた〉にあるのなら
まだまだ道は長そうです





観覧席の人が言う
幸せという名のバルコニーから
身を乗り出して口々に

「彼の気持ち、ホントにわかってる?」
「あなたの居心地悪いわよ」
「もっと彼に感謝して」
「まだまだ学びが足りないわ」
「あなたってなんか重いのよ」
「そんな彼なら捨てちゃえば?」 
「そろそろ年齢的にやばくない?」
「そのうちいい人に会えるわよ」 

涙が出るほどありがたい
のろけ話のぎっしり詰まった
アドバイス
 
人を指さすその手には
もらったばかりのまばゆい指輪
 
うらやましくてまぶしくて
ほんとに涙が出てきます

「ダメ出しするからダメなのよ」と
たっぷりダメ出しいただいて
 
がんばりますと力なく
ひらひらひらと手をふれば
 
指輪どころか
この手のひらは泥まみれ

幸せって反省です
幸せって研鑽です

気を取り直してもう一度
自分という女について
正しく見積もり出してみます

年齢 容姿 スタイル 学歴 家庭環境
性的魅力に家事能力

男に選んでもらうため
市場に出荷する前に
自分に値札をつけてみます





あどけない少女の頃に夢に見た
「好きな人と幸せに」
絵本の中のプリンセスに
いつかなれると信じてた

胸がふくらむ
思春期の頃につぶやいた
「好きな人と幸せに」
ドラマの主人公みたいな恋に
いつか出会うと思ってた

女になった今でも変わらず期待する
「好きな人と幸せに」
 
大好きだったあの彼と
いつかきっとと願ってた

ただただ無邪気に夢見ただけの
「好きな人と幸せになる」いう
たったひとつのこの願い

叶えることが
こんなに難しいことだなんて
誰も教えてくれなかった




ああ神様
たったひとつのこの願いは
そんなにも贅沢な
身のほど知らずのものですか




幸せってなんだろう
好きな人って誰だろう

誰からも選んでもらえないのなら
きっと無価値な女です

ガンガン追ってこないなら
それだけの女ということです

溺愛されていないなら
居心地の悪い女です

結婚したいと言われないなら
女としてのほんとうの幸せを
知らずにみじめに生きていく
かわいそうな女です
 



おもちゃのお椀に砂を盛り
拾い集めた花びらで
ままごとしながら夢見てた
かつての幼い少女のわたし

あの子にあわせる顔がない

磨いても努力しても勉強しても
自分を抑えて辛抱しても
 
願いはいつも
木っ端みじんに砕かれて

いつかと夢見た将来が
こんなにみじめなものだとは
 
あの子に言えるはずもない





幸せってなんだろう
好きな人って誰だろう
 
わたしの価値って
いったいぜんたい何だろう

遠くにかすむ山々の
姿も見えないてっぺんを
遙かに見上げて考える

何を目指して歩いてたのか
自分ですらも
今となってはわからない

両足のマメが破れて痛くても
空腹に耐えてひたすら歩き続け
泥で汚れた手のひらで
涙を拭うこともせず

自分の価値を見積もって
重くないよう気をつかって
 
したいことより相手のこと
今のことより先のこと

そうまでもしてひたすらに
登り続けたその先の
あの山の頂に
 
いったい何があるというのだろう




そうしてわたしは決めました
 
山を下りると決めました

幸せをあきらめたわけではありません
 
たったひとつの願い事を
手放すわけでもありません


 

だけどもっと
自分を大事にしてあげたい

わたしにとって
わたしという存在以上に
意味のある願いなど
意義のある幸せなど
 
どこにもあるはずないからです

だからもっと
自分を大切に生きていく
自分を愛して生きていく
自分が選んで生きていく 

霞んだ山のてっぺんから
いつか見えるはずの景色より
日々を愛しく生きていく

今のわたし
今日のしごと
今朝のごはん
今夜のお風呂
 
この瞬間に
誰かを愛しく思う気持ち

そびえる山じゃなくていい
必死になって吸いすぎた
息をゆっくり吐き出しながら
なだらかな小さな丘を
のんびりのんびり登ります

からっぽの鳥カゴに
今日のお昼のサンドイッチ
口笛吹いて
花摘んで
小鳥がくるのを待ってみます

今はまだ
からっぽのこの鳥カゴだけど
いつかきっと
いずれちゃんと
瑠璃色の小鳥が来てくれる





ああ神様
たったひとつの願いです

好きな人と幸せに
好きな人を幸せに

絶対叶えてほしいのです

きっと叶えてくれるはず
できればラクして贅沢に
 
いつかきっと叶えてくれると
信じて今夜は眠ります

また明日 
目覚めてみれば
幸せまでまた一日
近づいているはずだから





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かつて
私たちが太古の時代に生きた頃

男たちは狩りに出た
一族の生きる糧を得るために
愛するものたちを守るために


仕事を優先するのはその名残り
 
男は獲物の大きさで力と強さを競うもの
それが愛の証なのだから
どうして黙って待てないかと
だから重いと避けられる
 

連絡しないのはその名残り
 
命を賭した狩猟の途中に
置き去りにした女のことなど思うまい
一点集中主義なのだから
どうして信じて待てないかと
だから重いと放置される


追えば逃げるのはその名残り
 
遠くの獲物を追うよう
本能がそうできている
男はハンターなのだから
まずは追われる女になってみろと
だから重いと逃げられる


浮気をするのもその名残り
 
多くの子孫を残すため
種をばらまくものだから
オスの習性なのだから
見て見ぬふりはできないかと
だから重いと捨てられる


泣くのが重い 
束縛が重い 
詮索が重い
「連絡ちょうだい」とメールが重い
「好きだと言って」とお願いが重い
「会いたい寂しい」と言うのが重い
「冷めちゃった?」と聞くのが重い
「結婚したい」と迫るのが重い
「嫌いなところは直すから」と
 
そのけなげさが、
その気持ちこそが重すぎる

愛されたければその重さを
どこかに捨てて出直せと
その重さに耐えられる男など
どこにもいないと笑われる

重い女は選ばれない
重い女は続かない
 
太古の記憶を遡り、
考えてみればわかること




重い女じゃ愛されないと
重い女が今日も悩む

「そんな重さは男にとって邪魔なだけ」
「だからあなたは愛されない」
打ちのめされた重い女を
かつての重い女が打ちのめす

執着しすぎずほどほどに
あくまで軽くさりげなく
要求は決してせずに希望だけ
聞くだけ聞いたら相づち打って
感謝の言葉も忘れずに

軽くなければ愛されない
求めすぎたら愛されない
確かめすぎたら愛されない

女が女をたしなめる
かつて自分の重たさを
男にぶつけた女ほど
容赦もせずに重い女の頬を打つ





ならば女の話をしよう
女にだって
太古の時代の記憶がある

男たちが狩りに出かけた留守の日々を
守り抜いたのは女たち

雨風をしのぎ
暑さ寒さに耐え続け
 
今日か明日かと
男の帰りを待っていた
ただただ一途に
愛する男を待っていた

だから
連絡が欲しいのはその名残り
約束が欲しいのもその名残り
心細さも不安で泣くのもその名残り
いちいち気持ちを
確かめたいのもその名残り

出かけたままに行き倒れ
待てど暮らせど帰ってこない男もいた
別の女の洞窟に
居付いてしまった男もいた

日照り続きの涸れた野原に置き去りで
腹が減ったと
泣きじゃくる子を抱えながら
飢えて死ぬかもしれないと
女の本能に刻まれたあの
心細さと不安の記憶

探しに行かずにはいられない
追いかけずにはいられない
すがりつかずにはいられない
 
太古の記憶を遡り、
考えてみればわかること




女の重さは子宮の重さ
月の満ち欠けに振り回されて
ときには血潮で満たされて

恋活 婚活 妊娠 出産適齢期
タイムリミットまで
時間がないと急かされて
いつも耳元で時限爆弾の音がする

男が知りうるはずもない
男たちにはわかるまい

面倒のすべてを女に押しつけて
何も知らずに軽々と
男は狩りに出かけ行く

「羽のように軽やかな女であれ」
というけれど
軽い男と軽い女で恋が続くはずもない
 
地球の自転の遠心力で
広い宇宙にちりぢりに
吹き飛ばされてしまうだけ

重くない女など
いったいこの世の
どこにいると言うのだろう

そんな重さじゃ
耐えられないとこぼすなら
 
ガラパゴスのゾウガメみたいに
たったひとりで生き延びて
いっそ絶え果ててしまえばいい




それでも女は恋をする
 
何度でも何度でも
絶望を越え恋をする

かわいくやさしくひたむきに
せつなくいちずにやわらかに
愛した男にまっすぐに
 
生まれたときからそうだった

女が抱える宿命の
切ない重さも知らないで
 
日の出から日没まで
ナウマン象を追いかけて
季節も忘れる男だけれど
 
それでも女は恋をする

どうせわかりあえない重さならばと
やっぱり女が引き受ける

男に半分持ってほしいとは言わぬ
だから文句も言わせない

ずっとそうして生きてきた
 
遙か太古の昔から
受け継いできたこの重さ

「淋しい会いたい連絡がほしい」
「もっと好きになってほしい」
恋しい男を思う気持ちが重すぎて

うずくまる日があってもいい
進めない日があってもいい
目覚めたとたんに
泣ける朝があってもいい

泣くだけ泣いて
涙の分だけ軽くしたら
立ち上がって顔を上げ
風を切ってまた進む

恋する孤独ももどかしさも
愛する気持ちと
信じる強さに変えてゆく

生まれる前から私たちが引き受けた
その腹で小さな命を預かって
その乳で赤子を育てるその重さ 
 
感情に振り回されて揺れながら
しっかりと大地に根づくこの重さ

恥じることなく卑屈にならず
「軽やかな女です」とは偽らず
 
喜びも悲しみも
味わい尽くして生きてゆく

 
 

女に生まれたこの重さに
威風堂々の誇りを持って

私たちは
今日もまた

愛しい男に恋をする




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このごろ彼とは隙間風。
 
メールをしても途切れがち
LINEをしてもスタンプだけ
電話は眠いとすぐ切られ
会おうとしてもかわされて
約束してもドタキャンで

やっと会えたと思ったら
むっつり黙って仏頂面、
口を開けば愛想はなく
手も繋がずに
よそよそしく距離をとり
目も合わせずに
スマホばかりあくびばかり
気持ちはそぞろ、うわの空。

いつからなのかなぜなのか
二人のあいだに吹き抜けるのは
隙間風でも気のせいでもなく
木枯らしという冬の使者





けなげなあなたは考える
「仕事で疲れてるにちがいない」
ときどき声をかけながら
少し離れて彼を待つ

傷ついたあなたは彼に聞く
「怒らせること、何かした?」
ごめん疲れているだけと
目も合わせずに彼は言う

許せないあなたは彼を責める
「どうしてそんな態度なの」
もう放っておいてくれと
開き直って彼が吐く





それでも彼は変わらない
背中を向けて何も言わずに黙り込み
ますます冷たく男らしさも行動もなく
だからといって別れの言葉も口にせず
今ではろくに連絡もない

「彼にはもう気持ちがない」
と辛辣な人は言い
 
「次の恋を探しなさい」
と分別のある人は言い
 
「他に女がいるはず」
と野次馬が言う

はねつけるほどの強さもなく
笑い飛ばすほどの自信もなく
 
彼を残して去るほどの
きっぱりとした明日もなく 
あきらめて手を離すには寂しくて

北風の身を切るような冷たさに
こんな恋ではなかったはずと泣き暮らし
やっと出会えた人だったのにと彼を怨み
切ない思いは枯葉のように積もりゆく

木枯らしにふりまわされて
あなたの恋は袋小路で行き止まり




冬将軍が来る前に
あなたに気づいてほしいこと

この木枯らしは彼の態度のせいじゃない
あなたの心にぽっかりあいた暗い穴から
この冷たい北風は吹いている

メールが少ない返事が遅い
LINEのラリーが短すぎる
もっと会いたい電話もしたい
土日は必ず平日もときどき会いたい
何度も好きだと言ってほしい
ドタキャンなんてありえない

頻度を数え時間を計り、
ルールを決める
 
あなたは彼に何箇条もを突きつけた

ついうっかり忘れたなんて許さない
疲れていたらできないなんて愛がない
不機嫌そうにイヤイヤなのは嬉しくない
最優先にしてくれないなら気持ちがない
謝るときは心から
次会うときは埋め合わせ

ああ彼という人の
無神経なこと鈍感なこと

かじかんだ手で
彼がおこした小さな火さえ
大きな大きなその溜息で吹き消して

そんな愛ではまだ足りないと
もっと愛して信じさせてと言ったって

彼にはもはや何もない
あなたが気づくずっと前から
彼の心は冷たい風に震えていた

外套も手袋も、
持てるすべてを剥ぎ取られ
愛を告げるためのその唇も
抱きしめるためのその腕さえも
今は凍えて動かない





凍りついて青ざめた彼の姿に
あなたはようやく目が覚める

彼がこんなに冷たくなるまで
満たされなかったのは

彼が二度と笑わなくなるまで
求めつづけたのは

自分の心の大きな穴を
ただただ埋めたいだけだった





あなたの心の暗い穴
深い深いその洞窟の奥からは
いつも魔物の声がする

〈男の気持ちは当てにならない〉
〈どうせ愛してはもらえない〉
〈また遊ばれて飽きられて捨てられるだけ〉

〈 今 す ぐ ほ ら 早 く 確 か め ろ 〉

心の隅に棲みついて
息をひそめているあの魔物

大好きな人に出会えたときほど
よりによってそんなときほど
悔しいことに出てきてしまう
声だけ聞こえるあの魔物

震える彼に
凍える彼に気づきもせず
「私は彼に、本当に愛されている?」
そのことばかりを考えて
あなたの恋はいつも必ずだめになる

もっともっとまだ欲しいと
求めてばかりのあなたの不安が
試してばかりの自信のなさが
真冬の雲を呼び寄せる

幸せな恋がしたければ
心から愛されたいと思うなら
彼を信じて笑っていたいと思うなら

あなたが自分でその洞窟へ行くのです
目を背けずに覚悟を決めて
本当に魔物が棲んでいるのかどうか

底なしのあなたの不安が生み出した
姿も見せない声だけの魔物など
ドン・キホーテの幻です

その穴の入口を
自分の力で閉じない限り
どんな勇者が現れたって同じこと

その木枯らしの冷たさに
どんな恋も深い愛も
凍えてそのうち絶え果てる






この凍てつくような北風の中
あなたがこれからすべきこと

彼が被せてくれた外套の
破れたポケットを探ってみれば
湿気たマッチが三本あるでしょう

いつかのためにと
彼が遺してくれたもの
それだけ握って進むのです


一本目の
マッチを擦ったらその炎で
不安の種を
すべて燃やしてしまいましょう
 
ずっとあなたが囚われてる
かつての恋がつけた傷

失恋 別れ 片想い 友達優先
裏切り 心変わり 体目当て
すっぽかし 
既読スルー 
着信拒否
 
尽くして信じて避けられて
音信不通にフェードアウト
忘れられないどうしてやっぱりもう一度

終わってしまった恋の傷を
彼に背負わせてはいけません

この人ならば今度こそはと
勝手な期待が渦巻けば
また木枯らしが吹くのです

今でも胸が締め付けられて痛くても
もう過ぎ去ったはずの記憶ばかり
すべて残らず燃やすのです





二本目の
マッチを擦ったらその灯りで
彼からの愛のしるしを探しましょう
今まであなたが見逃してきた
心づくしのそのしるし

励まし 気遣い 思いやり
遅れた返信 
真夜中の電話 
睡眠不足の休日
かすれた声で呟いた恋の言葉
 
わがままも責める言葉も黙って受けて
言い返したい気持ちはぐっと飲み込んで
申し訳ないすまないごめん今度必ず

今は冷たい彼だけど
抱きしめてくれたそのときの
彼の気持ちは嘘じゃない

彼があなたに与えてくれた
あたたかなその思い出は
未来のあなたを支えます

もの足りなくても不器用でも
どれも確かな愛のしるし
ひとつのこらず探すのです





そして最後のマッチの一本は
彼の心が解けるまで
摺らずにとっておきましょう

木枯らしが吹くだけ吹いた翌日は
小春日和のあたたかな朝が来る

彼があなたを想うなら
真冬を迎えるその前に
凍った心もやがて必ず解けるから
焦らずゆっくり待ちましょう

どうにか彼が目を覚ましたら
そっとそばまで寄り添って
最後のマッチを擦りましょう
その火が彼を
もっと暖めてくれるはず

二人でおでこを寄せ合って
小さな炎を覗き込めば
あなたの笑顔に彼も笑い
山も笑って春が来る

春一番が吹く頃には
固く優しく手を繋ぎ
急がずのどかに歩みましょう。

二人が歩くその道は
どこまでだって続くから。





そしてもしも
彼の心が芯まで冷たく凍りつき
永久凍土に埋もれてしまったとしても

大丈夫、
あの洞窟はもうどこにもない

あなたが自分で閉じたのだから
木枯らしはもう吹かない
魔物の声も聞こえない
不安の種から芽は出ない 

そして最後のマッチの一本は
やはり摺らずにおきましょう

季節はかならず巡るから
次の恋にも
きっと出会えるはずだから

その日のために
彼が遺してくれたもの
最後のマッチの一本が
きっとあなたの力になる

終わってしまった恋だけど
彼がくれた愛のしるしは忘れずに
うららかな春の訪れを信じましょう。

次の恋では
もっと優しくできるから。




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わたしの大好きなあの人は
とっても仕事が忙しい

平日の夜はひとりぼっち
土日も仕事で潰れがち
電話もメールもあんまりない
仕事帰りのデートなんて夢のまた夢

「忙しいのは理由にならない」
「忙しい男ほど上手に恋愛してる」
「本気で惚れたらほっとかない」
「キャパが小さい男よね」
みんな勝手に言うけれど 

それでもわたしは彼が好き
仕事を頑張る彼が好き
 
半分ほんと、もう半分は自己暗示
顔で笑って心で泣いて

雑踏の中でひとりぼっち
記念日もイベントも通り過ぎる
次に会う日も決まらずに
まる一日のデートなんて夢のまた夢

あぁ会いたい すごく会いたい
どうしてこんなに会えないの
30分でも1時間でも
顔が見たいだけなのに 



そんなとき
いつもわたしが思い出す
チスイコウモリの愛のうた

お腹がすいた仲間のために
自分の血をも差し出せる
醜く不気味で心やさしい哺乳類

わたしだってそんな風に
大好きな人にやさしくありたい

彼にとって今このときが
生き残れるかどうかの勝負なら
 
わたしはよく食べよく眠り
二人分の元気の素をためこんで

いつか会えたらそのときは
彼の疲れを癒やしたい

忙しい大好きなあの人に
これがわたしの愛のうた






わたしの大好きなあの人は
とっても不器用で連絡不精

最初は彼からくれてたのに
今では電話もメールもさっぱりない
返信さえもなかったりあったりなかったり
LINEでラリーなんて夢のまた夢

「手に入ったから興味がない」
「ないがしろにされてていいの」
「フェードアウトを狙ってる」
「失いたくなければ連絡する」
みんな勝手を言うけれど 

それでもわたしは彼が好き
不器用すぎる彼が好き
 
半分ほんと、もう半分はやせがまん
伊達の薄着で風邪ひいて

たぶんこないとわかっているのに
鳴らないケータイが手放せない
今日こそ連絡くれるかも
着信音で目覚めてみたら夢の中

あぁメールしたい 話したい
どうして何の連絡もないの
ほんのひとこと
送ってくれるだけでいいのに

 

そんなときいつもわたしが思い出す
奇跡のワニの愛のうた

人類の百倍の時間を生き延びるため
じっと動かず食事は一年に四度きり
進化のために沈黙する
冷血動物の爬虫類

わたしだってずっと永く
彼と一緒にいられたら

口ベタな彼にとって「連絡」が
そんなにくたびれるものならば
 
わたしはよく笑いよく話し
ひとりの時間を明るくにぎやかに

いつか連絡がきたらそのときには
彼と楽しく過ごしたい

不器用すぎる大好きなあの人に
これがわたしの愛のうた





野生時代の愛のうたを知るまでは
長く苦しい日々もあった

男にとって仕事とは
男にとって恋愛とは
男にとってメールとは
男にとって連絡とは

男性心理も恋愛理論も
諳んじるほど頭に入れて
 
理解したい応援したい
受け入れたい信じたい
求めない追求しない
ワガママ言わない
返信なくても気にしない
会いたがらない
寂しい連絡ちょうだいと口にしない

してはいけないことばかりが気になって
恋する気持ちはおざなりで

今できることは
「とにかくそっとしておくこと」
「彼からの連絡をじっと待つこと」

頭でばかり考えて
がんじがらめになっていた

でもほんとうは気づいてた
不安で不安で仕方がない
辛くて悲しくて自信がない
今すぐ彼に確かめたい

だけど恐くて聞けやしない
口に出してしまったらもう最後
ガラガラと足元から
自分が崩れてしまいそう

だから気づかないフリしてた


 

あきらめなきゃと思うほど
心がちぎれてしまいそう
 
まだ待ちたいと思うほど
心の重さに潰されそう

だけどもう限界
もうダメ 
もう無理 
もう待てない
苦しすぎて辛すぎて
 
このままいたら
きっと私がだめになる

会えない彼に
連絡のとれない彼に
終わりの手紙をしたためる
感謝のメールを下書きする

どうせ最後になるのなら
きれいな思い出で終わりたい
いい女だったとずっと
ずっとずっと覚えてて

やさしいところが好きだった
励ましてくれたから頑張れた
仕事に打ち込む姿を尊敬してた
口ベタで不器用なのもわかってた
声聴くだけで嬉しかった
メールするだけでわくわくした
顔を見るだけで幸せな気分になれた…

あぁどうしよう まだすごく好き!
 
なのにどうしてあきらめるの
あと少しだけ
やっぱり彼を待ってみたい

出せない手紙は投函したらもう終わり
別れのメールは送信したらもう終わり

どうせ終わらせるなら明日でいい
別れのメールは
いつかまた今度また

今日はまだ
大好きなあの人を好きでいよう

わたしの野生がそう叫ぶ





おしゃべり好きのペンギンは
氷の上より海の中
 
黒い背中も真っ白な腹も
海で命を守るため
長いときには数ヶ月 
水の中で過ごしてる

この恋だってきっとそう
氷の上でよちよち歩み寄って
二人仲良く過ごしたら
 
今日からはまた別々に
群青の海へ飛び込もう

深く深く
どこまでも潜るほどに青深く
 
海の底でも不安じゃない
冷たい水でも寂しくない

彼だって今ごろは同じ海を泳いでる
いつかまた氷の上で会えるから

南極の海で離ればなれになっても
きっと二人は凍えない
 
これがわたしの愛のうた





彼の言葉と行動を
分析するのはもうやめよう
連絡と会う回数を
記録するのはもうやめよう
 
大好きな人がせっかくくれた愛情を
裏返して
あぶり出しして
日に透かして
検分するのはもうやめよう

頭でっかちになりすぎて
大事なものを見失ってしまうより

恋に溺れてはいけないと
駆け引きの池で溺れてしまうより
 
ケータイばかり気になって
この愛のうたが
聞こえなくなってしまうより

いつも小さく口ずさみたい
やさしく強くあたたかく
野生時代の動物たちの愛のうた


 


わたしの大好きなあの人の
笑顔 まばたき くちびる 声
繋ぐ手 触れ合う肌と肌 
湿った汗とそのにおい

すべてに胸が高鳴って
からだの芯まで熱くする

ほんとうは
出会えたときから聞こえてた
わたしの野生を呼び覚ます
大好きな人が奏でるあの愛のうた





今日もまたひとりぼっちの帰り道
 
会える日は今度いつだろう
そろそろ連絡くれるかな
月夜が照らす一本道を
今夜も一人歩いてく

きっと今ごろ
ザトウクジラも歌ってる
打ち寄せる波のうねりのリズムに乗せて
満天の星空に響かせて

人類が存在しない大昔から
クジラは月に歌ってた

もう
誰かと比べることはしない
愛情を測って嘆くこともない
焦って苦しくなることも
信じようと無理して耐えることもない

食べてるものを知らなくても
今いる場所を知らなくても
何をしてるか知らなくても

一緒じゃなくても一人じゃない
離れてるからって一人じゃない
連絡がなくてもひとりぼっちじゃない

野生時代を思い出せば
ゆるやかにたしかに今もつながってる
 
見なくても考えなくても測らなくても
心だけで感じられる愛のうた

ただゆったりと漂う潮に身をまかせ
クジラのように歌いたい
 
大好きなあの人を
好きだと思うこの気持ち

ここにいるよ。
頑張って。
大好き。

ふんわりまるく輝いた
あの月に向かって歌いたい
大好きな彼の名前を何度でも
それだけで心震える愛のうた

他の誰にもわからない
わたしたちだけの
この愛のうた

関連記事:「連絡不精の男とつながるには 」


月に歌うクジラ (ちくま文庫)
ダイアン アッカーマン
筑摩書房
1997-07


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むかしむかし
輝く瞳をもった小さな男の子が
裸足で野山を駆け回り
棒きれを拾い虫を捕まえ
日暮れまで

そのうち大きくなって少年になり
崖を登り川へ飛び込み
魚を捕らえ焚き火をおこして
夜明けまで

厚くなる胸板と強くなる拳
バネのようにしなり跳ねる背中と足
どんどんたくましくなるその身体を
小さな島で持てあまし

「そろそろここを出る頃だ」
 
自分で決めて、
見よう見まねで
小舟とオールをこしらえる。





むかしむかし
濡れた瞳の小さな女の子が
おうちのまわりで花を摘み
木の実と貝でおままごとをして
昼寝まで

そのうち大きくなって少女となり
花冠を編みおしゃべりをして
歌い踊って星の下

豊かに艶やかに伸びた髪
しっとりと潤い輝く素肌
母の腕の中のように温かな思いが
身体いっぱいに満ちて

「誰かに寄り添って眠りたい」
 
期待を込めて、
見よう見まねで
寝床の支度をととのえる。





あるときばったり二人は出会う。
 
出会ったまさにそのときから
なぜだか胸が高鳴って
 
戸惑いながらためらいながら
でも大胆に性急に
見つめ合ってささやき合って
手をつないで

二人は恋に落ちる。

朝も昼も夜も一緒に過ごし
語り合い肌を重ね
 
二人で眠る小さな寝床は
世界の中心となり
うっとりとこの世界には
彼と彼女の二人だけ。





ある明け方、
目を覚ました彼は唐突に思い出す。

作りかけの小舟があったこと
オールもまだ削りかけだったこと

「冒険に出かけなければ」と思い出す。

身につけた勇気と知恵を試すため
鍛えたその肉体で
どこまで行けるか知るために

「今すぐ出かけなければ」と思い立つ。

心地良い寝床をそっと抜け出して
小舟とオールをなんとか仕上げ
使い込んだ小さなナイフをポケットに
 
日の出とともに静かに沖へ漕ぎ出でる。

寝息を立てて
隣で眠る彼女の寝顔を思い出し
その寝床の
あたたかなこと柔らかなこと
ちくりと胸に刺ささりはしても

仲間はすでに旅立った
彼女の寝床で眠りすぎたと悔やみもし
思いはすべて断ち切って
この入り江から漕ぎ出でる。

幼い頃に岬から、
憧れるように見続けた
夕日が沈むあの水平線の果てへ
そのまた先の
朝日が昇る大陸の果てへ

自分の意志で決めたこと。
もう後戻りはしない。




目覚めたあなたは
その朝を境に天国から地獄。
 
だってこの世界は
二人だけのものだったのに
彼さえいれば
この世界は完璧だったのに

世界の中心だったはずの小さな寝床は
もはやぬくもりさえ残らず
ひんやりとして

心のこもった置き手紙なんてなく
あったとしても
ぶっきらぼうな一行だけ
「仕事が忙しくなった」
「もういっぱいいっぱい」
「しばらくそっとしといてほしい」

たまらぬ不安と寂しさで
いてもたってもいられずに
 
彼が漕ぎ出た浜辺まで
駆けて駆けて追いかけて
波のかなたに目を凝らせば
彼の小舟ははるか沖

あなたは膝からガックリと崩れ落ち
なぜなのどうして
どこに行くの
と泣き叫ぶ





そんなときのあなたに
どうかわかってほしいこと。

彼を呼び止めてはいけません
行かないでとすがってはいけません
戻ってきてと泣いてはいけません
忘れないでと念を押してはいけません
「私のこと嫌いになったの?」と
気持ちを聞いてはいけません

輝く瞳の少年が青年に育ち
今まさに大海原を目指そうと
漕ぎ出したこの明け方に

彼の小舟にいつまでもロープを繋ぎ
さみしいさみしいと
後ろから引っ張っていたら
彼のオールはどんどん重くなるばかり

あなたに繋がるロープを
ナイフで切ってしまうかもしれない。
疲れ果てて深い海の底に
船ごと沈んでしまうかもしれない。





泣いても叫んでも
二人だけの世界はもう終わり。

未来に向かって伸びる彼の手足を
小さな寝床に縛り付けても無駄なこと。

冒険に出るためにこそ
彼の人生はあるのだと
まずそのことを知りましょう。

別れも告げず発つ彼を
恨まず待っていたいなら
 
寝床の隣を彼のために
空けておこうと思うなら

水平線に消えていく彼の小舟を見送って
昇ったばかりの朝日に誓い涙を拭いて
彼ならきっとできると心から信じて

あなたはあなたの毎日を
ただ丁寧に生きましょう。

おいしいものを
おいしく味わえるように
 
美しいものを美しいと
感じられるように
 
人にやさしくできるように

なるべく笑顔で暮らすこと。
やるべき仕事に取り組むこと。
 
時には彼を思い出し、
元気でいてと祈ること。

そして一番大事なことは
自分の気持ちと人生を見失わずに
その両足で
しっかり立って生きること。





彼だって
まだ本当はこわいのです。

たったひとり
大海原に粗末な小舟で旅に出て
頼れるものはまだ細いその両腕と
小さなナイフがひとつだけ

いったいどこまでいけるのか
戦いに勝ち生き残れるか
彼女の元にこの島に
果たして帰って来られるか

震える手でオールを握りしめ
逃げ出したい日もあるかもしれない
勇者になれず賢人に遠く
うなだれ歩く日もあるかもしれない

石を研ぎ槍を突く術は知っていても
便りの書き方を彼は学ばず

枝を削り弓を引く術は知っていても
愛の伝え方を彼は学ばず

信じてほしいと言葉には出さず
くじけそうだと泣き言は言わず
寂しい思いをさせてると
詫びたい思いも抱えつつ

それでも彼は進み続ける
振り返らずにその道を行く
 
一人前のほんとうの、
なりたい男になるために





風に乗って
彼の指笛が聞こえてきたら
あなたも歌えばいいでしょう。
 
足に手紙を巻いた
フクロウが飛んできたら
あなたも返事を書きましょう。

覚えたばかりの子守歌
小さな島の四季のこと
葦の筵が編めたこと

冒険に出た彼の世界が
どんなに大きく広がっても
その中心は変わりはしない
目印となるこの島の
小さな小さなあなたの寝床

彼を思ってあなたが泣けば
彼の心がくじけるだけ
寂しい切ない帰ってきてと
それは言わずにおきましょう。

その日がいつになるのかは
神様でさえ知らぬこと
待ちたいならば待ちましょう
戻れるときに戻るから。

あなたが笑うその声は
潮風に乗り海を越え
きっと彼まで届くから

あなたはあなたの人生を
楽しく嬉しく機嫌よく
ただ大切に生きましょう。





ある夕暮れ、
 
あなたの前に
ようやく現れた彼は
強く鋭くたくましく
あの明け方よりずっと優しい
なりたかった男になっている。

疲れて眠る彼を
黙って抱きしめるあなたは
柔らかくあたたかく美しく
あの明け方よりずっと強い
なりたかった女になっている。




ひとりの寝床が広すぎて
眠れずにいる夜
 
枕元で揺れる
ろうそくの灯りに泣けてきても

大丈夫、
彼だって今ごろは
どこかの野原で焚き火を見つめ
あなたの寝床のぬくもりを思い出し
凍える体を温めている。
 
だから今夜一晩は
泣かずにひとりで眠りましょう。
 
いつかに続くこの夜だと思って。




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以前は頻繁だった彼からの連絡が
めっきり減ってなくなって
 
メールの返信が素っ気なかったり
ほとんどなくなってしまったり
LINEが既読スルーだったり
既読にすらならなかったり
会おうとしてくれなかったり。

はじめのうち、
胸騒ぎはするものの
まさかそんなと思い直し
 
もう一度メールしてみたり
不在着信を残してみたり
「話があるんだけど」と
おそるおそる伺ってみたり。

けれども彼の態度は
ますます素っ気なく
なぜだか知らないけれど
理由も言わずに
ダンマリを決め込んで

それでも信じたいと待つ女の方は
ろくに食べられもせず眠れもせず
息をするのも苦しいくらいに
締めつけられていくその胸には
胸騒ぎどころか真っ黒な暗雲が
たちまちいっぱいに立ちこめて

あぁやっぱり
悪い予感は当たってしまった!
 
大きく轟く雷を合図に
嵐の夜のはじまりです。




長い長いその夜を
不安の渦に
巻き込まれて過ごしながら
 
どうしてもどうしても
今すぐ彼に
確かめたいことはただひとつ、

「もう私のこと好きじゃなくなったの?」

 

「気持ちは何も変わらないよ」
「まだ好きだから心配しないで」
 
それだけ言ってくれれば
いくらでも待てるのに
 
こんな嵐の夜に
不安な思いをさせて
 
連絡ひとつ寄こさず
音信不通になるなんて

いったい彼は
今どこで何をしているのだろう?

ひとりぼっちで
取り残されて眠れぬ夜は
 
抱きしめてくれた腕の強さを
すり切れるほど思い出し
自分をなぐさめたり
最後に会った日、
最後のメールを確かめて
きっと大丈夫と自分を励ましたり
 
もしかしてあのとき?と
唐突に思い当たって落ち込んだり
全てが悪く結びついて
もう終わりにちがいないと絶望したり
こんなひどい男だったのかと
やりきれない怒りがわいたり
 
優しかった彼に
せめてもう一度だけ会いたいと
その切なさに泣けてきたり。

そしてやっぱり
確かめたいことはただひとつ、
 
「まだ私を好きでいてくれてる?」

それさえ聞ければ
この孤独な夜も明けるのにと
覚悟もできていないのに
嵐の中に飛び出して
彼を見つけ出し
気持ちを問いただして
雷に打たれる女もいれば

なすすべもなく
布団の中にもぐり込み
目をつむり耳をふさぎ怯えて泣きながら
ただただ嵐が過ぎるのを
じっと待つしかない女もいて

嵐を終わらせるのは、
たったひとつの言葉だけ。
 
「変わらず好きでいるよ」
 
と彼から聞けないかぎり
この夜の、
辛く苦しいことに変わりはなく。




そんな風に
眠れぬ夜を過ごす女性に
もしひとことだけ
声をかけるとしたら
こう訊ねてみたいのです。
 
「そんな彼を、あなたは本当にまだ好き?」

君が好きだと言ってくれた
記憶の中の彼じゃなく
また優しい態度に戻ってくれたらと
未来の彼に期待するのじゃなく

今この瞬間、
こんなにひどい嵐の夜に
あなたの元に駆けつけられない
情けない男を
ずぶ濡れで現れてゴメンと言われたら
黙って許せるのかどうか。

男らしく誓いを捧げてくれた彼ではなく
疲れてみっともなくて自信をなくし
理由も言わずに姿を消した卑怯な、
ただの意気地なしの男。

仕事か生活か、
とにかく
恋以外のことで頭がいっぱいで
少しくらい連絡しないでいても
彼女なら
待っててくれると安心しているのか
 
これが本当の自分なのだから
受け入れてほしいと
頑固に思っているのか
今まで去っていった女たちとは
本当に違うかどうか試しているのか
 
それとも
ただただ忙しいだけなのか。
面倒になっただけなのか。

どんな理由もただの言い訳、
連絡を寄こさず
会おうともしないという
動かぬ事実があるだけのこと。
 
つまりは
わがままで甘えているだけの、
ずるくて自分勝手な男。

そんな男、そんな彼でも、
この孤独な夜を乗り越えて
待ちたいかどうか
 
この先また同じことがあっても
「おかえり」と
優しく出迎えられるかどうか

涙をふいて暗がりに目を凝らし
自分の気持ちを
まず見つめるべきです。


 
 

彼の気持ちばかりを
確かめようとする前に
欲しい言葉を
むりやりもぎ取ろうとする前に

嵐の行方も人生も運命も
あなた自身の手の中にこそ
あると思い出して。

自分の人生を人任せにせず。
彼次第で
どうにでもなる女になるのじゃなく。
 
彼にNOとジャッジされたら
砂みたいに
崩れ落ちてしまう女じゃなく。
 
不安を消してほしくて
問いただすのでも
「私なんかどうせ」と
一人でみじめに泣くのでもなく。

自分の心の深いところまで
梯子を下りて
耳をふさぐ両手をはずし
心の声を聞くべきです。

彼という男を本心から
まだ好きで
待ちたいと思うのかどうか。


 
 

そうして決めたら
しっかり腹をくくること。
 
おへその少し下の方、
女の肝があるところに
ぎゅっと力を入れること。

女の強さは
そういうところにあるのです。
 
いったん覚悟を決めたなら
何があっても受け入れる強さが
どんな女にだって
備わっているのだと信じたい。

すべてを彼に委ねて
ただ審判を待つのではなく
 
やっぱり愛そうと
自分で決めたことならば
 
きっぱり断ち切ると
自分で決めたことならば
 
決めたその瞬間から、
もう運命は
変わりはじめているはずだと
信じたい。





それでもまだ、
暗闇の怖さに
ざわざわと気持ちが揺れて
嵐の夜に迷い込んで
眠れない夜は

何度でも何度でも、
まずは自分の気持ちに立ち戻ること。

そばにいてくれる男なら
彼じゃなくてもいいのかどうか
 
そばにいてくれなくても
どうしてもこの彼がいいのかどうか。
 
彼の言葉で決めるのじゃなく、
あなた自身が決めるのです。



 

眠れないのは
彼の気持ちがわからないせいじゃない。
 
怖がるばかりで目を背け、
あなたが決められずにいるからです。

怖い怖いと握りしめている
その手を開けば
まだそこに、
 
ちゃんと
あなたの人生があるのだと
何度でも思い出すことです。





そしてもし、
あなたが彼を待つと決めたなら。

彼が戻って来られない嵐の夜でも
ろうそくの灯りだけで
静かに待てるように
 
冷えきった彼の心と体を
あなたのぬくもりで
少しずつ暖められるように

生まれ持った
女の強さと思いやりを信じて
 
優しい気持ちで
心静かに待ってみてください。

彼だって、
この恋に不安も不信もあるのです。
 
こんな男で申し訳ないと罪悪感で
目をそらすかもしれないし
もう疲れた何もかもどうでもいいと
自暴自棄なのかもしれないし。

だから
二人の愛しい記憶はそのときのため。
夢見る未来もこのときのため。

そうやって
あなたの心が落ち着けば
雷雲は去り風も止み、
そのうち雨だって上がります。

最初から
嵐などなかったのかもしれない、
怖い夢を見ただけだったのだと
思えるほどに
静かで穏やかな朝が来ます。

そんな朝には彼の名を
そっと呼んでみてもいいでしょう。
 
返事がなければ表に出て
ゆっくり見回してみてもいいでしょう。

ただしひとつだけ気をつけて。
 
あなたが自分の心の不安に負けて
彼の名前を呼んでしまったら
 
くたびれ疲れ果てて
倒れ込んでいる彼は
涙まじりのあなたの声を
魔女のそれと勘違いして
叫ぶようなあなたの声を
魔物のそれと勘違いして

あの優しかった僕の恋人は
ここにはもういないのだと
二度と帰っては来ないかもしれない。

だから名前を呼ぶなら一度だけ
そっとそっと。
いつもよりもずっと優しく
耳元でささやくように。

まだまだ彼には
返事すらできないようならば
またもうしばらくは静かに待ってみて
晴れて風のない穏やかな朝が来れば

もう一度
恋しいその名を
そっとつぶやいてみる。

遠くからかすかに
彼の声が聞こえてくるまでは
そうやって静かに穏やかに、
彼を待ってみてください。

彼はきっと帰ってくると
心から信じられるなら
名前など呼ばずに
待っていたっていいのです。

待つ価値はあると
あなたが選んだ彼ならば
どんなに激しい嵐の中でも
どうにかしぶとく生き抜いて
 
大丈夫、
そのうち必ず帰ってきます。

ひとりぼっちの嵐の夜がまた来ても
あなたは穏やかに待ち、
彼は必ず帰ってくる。
 
男の愛はそうやってくりかえすこと。

最初のうちは
強がりでもやせ我慢でも
何度も何度もくりかえすうちに
結び目は強く固く締まり
 
心から信じられるようになる。
当たり前になる。
ひとりの夜でも幸せに眠れる。 
 
嵐の夜を
自分で終わらせることができる。

きっとそれを絆と呼ぶのです。





そしてもうひとつ、
彼のことは待てない
もう待たないと決めたなら。

勇気を出して雨戸をすっかり開けて、
どうか
外の景色を見渡してみてください。

空気のちりも
枯れ残った葉も
あなたの涙も
嵐がぜんぶさっぱり洗い流してくれて
 
滴る雨のしずくに反射する
朝の光の美しいこと。

それでようやく
あなたは気づくことができる。
 
泣きはらした嵐の夜も
この美しい朝に出会うためだった。

そういう強さも
女にはちゃんと備わってる。
 
また新しい朝を迎える力。
その美しさに感動する心。

あなたが自分で決めたこと、
その手で重たい雨戸を開き
その目で嵐の終わりを確かめた
勇気と強さを忘れずにいれば

どこかで行き倒れた彼が
あなたの元に戻ってくることは
二度となくても
 
その男の名を呼ぶことが
もう二度となくても

大丈夫、
新しい朝はあなたの前に訪れます。
 
晴れ渡った空には小鳥がさえずり
そのどこまでも澄んだ空気を
胸いっぱい深呼吸すれば
 
明日もその次の日も、
またこの朝に出会えると信じられる。
ひとりの夜も震えずに眠れる。
新しくドアをノックする音が聞こえてくる。
 
もう一度
誰かを愛したいと思える。 

きっとそれを希望と呼ぶのです。




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もしも僕が
メールの返信をしなくなっても
誤解しないでほしいんだ

気持ちが冷めたわけじゃないし
フェードアウトしたいわけじゃない
他の子に気移りしてるわけでもない

ただなんとなく
そうしたかったけなんだ

あえて理由を問われれば
仕事が忙しいとかトラブってるとか
体調ちょっと崩してるとか
言い訳ならあるにはある

そしたら君はこう言うに決まってる
「メールの一本くらいできるでしょ」

僕だってそう思う
軽く返信すればいいってそう思う
君を安心させてあげたいと思う

だけど今はそうする気になれないんだ
なぜか返信したいと思えないんだ

ただなんとなく
そうしたいだけなんだ

決して君に
冷めてしまったわけじゃないのに




もしも僕が
つまらなさそうにしていても
不安にならないでほしいんだ

怒ってるわけじゃないし
君といるのが不愉快なわけじゃない
体調が悪いわけでもない

ただなんとなく
そんな気分なだけなんだ

しばらく一人にしておいてくれたら
いずれ戻ると思うけど
いつまでなのか今は言えない
どうしてなのかもわからない

でも君はこう聞くに決まってる
「私のこともう好きじゃないの?」

僕もそんな気がしてくる
会ってて楽しくないのなら
好きじゃないのかもしれないって
自分でもそんな気がしてくる

君が悪いわけじゃないんだ
でも前ほどに楽しいとは思えないんだ

ただなんとなく
そんな気分なだけなんだ

決して君を
うとましく思ってるわけじゃないのに




もしも僕が
今すぐプロポーズできなくても
優柔不断な男だと思わないでほしいんだ

君に不満があるわけじゃないし
もっと遊んでいたいわけじゃない
他の子と比べてから決めたいわけでもない

ただなんとなく
自信が持てないだけなんだ

もう少し待っててくれたら
少しは自信もつくかもしれない
だけど約束なんてできないし
君の未来を縛ることはしたくない

そしたら君は愛想を尽かすに決まってる
「もう待てない。他の人を探すから」

収入とか昇進とか
それだけのことじゃない 
ただ僕がひとりの大人の男として
家族を引き受けられるのか
何かひとつ、自分の柱が必要なんだ

いつかは君と、とも思ってるんだ
でも今はまだ考えられないだけなんだ

ただなんとなく
自信が持てないだけなんだ

決して君と
結婚したくないわけじゃないのに





「ただなんとなく」
僕はそんな風に生きている

どうして?なぜ?と
君はいつも理由を聞きたがるから
それらしく答えてはみるけど

ほんとうは
大した理由があるわけじゃない

「ただなんとなく」
そんな程度のことなんだ

そんなのいいかげんだって
君は怒るかもしれないけど

男なんて
そんなもんだと思うんだ





君を好きだと思うこの気持ちは
たぶん、たぶんだけど
前とそんなに変わってない

だけどときどき
疲れてしまうことがある
少し休んで
ひとりになりたいことがある

催促のメールや電話がくるたびに
逃げ出したくなってしまう

申し訳ないとは思う
もっとがんばりたいとは思う

だけどヤル気がおきないんだ
 
そんな自分が
だんだん僕も嫌になる
この付き合いが
だんだん重くなってくる

決して君を
嫌いになったわけじゃないのに





君が楽しそうにしていたら
僕もなぜだか嬉しくなる
 
君が不満そうにしていたら
僕もなぜだか気が沈む
 
君が泣き出してしまったら
僕はその場から
ただ逃げ出したくなってしまう

君に夢中になるほどに
楽しくなったり落ち込んだり
いろんな気持ちが乱高下するけど
 
それをどうしたらいいのかなんて
誰も教えてくれなかった

慣れない気持ちをただ持て余し
途方に暮れてしまった僕は
なぜか無性に
ただなんとなく
ひとりでいたいと思うんだ

こんな曖昧でいい加減な
なんとなくなこの気分を
君にどうして伝えよう
 
言葉を尽くせば尽くすほど
僕のほんとの気持ちとは
どんどん違うものになる

こんなとき
どうしたらいいのかなんて
誰も教えてくれなかった




泣くな負けるな怖がるな
よそ見をせずにしっかりやれ
男なら
男だろ
そう言われながら育ってきた

虫採り魚釣り木登り
仮面ライダーごっこにプロレスごっこ
休み時間は校庭に出て駆け回り
部室でゲラゲラ馬鹿話
マンガは冒険モノかスポ根モノ
ときどきエッチな本も回し読み

自分の気持ちのことなんて
お道具箱の一番下に入れたまま
小学校に忘れてきた

女の子たちが
みんなでトイレに連れ立って
小さなメモを交換して
放課後もずっとベンチに座って
飽きもせずに毎日毎日
何をそんなに話してるのか
僕にはさっぱりわからなかった

女の子の気持ちのことなんて
先生も監督もコーチも先輩も
誰も教えてくれなかった





ようすを伺うメールが来るたびに
ぎこちない作り笑いを見るたびに
泣きそうに歪んだ顔を見るたびに

僕は途方に暮れてしまう

そんな君じゃ
決してなかったはずなのに
君がやさしく笑う顔が
何より僕は好きだったのに

不機嫌な君を
どうしていいかわからない
 
君の不安が
どこからくるのかわからない

きっと僕が悪いんだろう
それはうすうす気づいてたけど
どうしたらいいのか僕にはわからない
誰も教えてくれなかった

自分のこの気持ちでさえ
どうしていいのかわからずに
僕は途方に暮れている





君と出会って好きになって
かわいくて
やわらかくて
やさしくて
僕はまるで天にも昇る心地だった

だけどときどき
自分が自分じゃなくなるような
おかしな気分にもなっていた

甘酸っぱい気持ちに浸っていたら
君の機嫌に振り回されていたら
君のやわらかさに溺れていたら
 
僕は男じゃなくなってしまう

だからときどき
疲れてしまうことがある
少し休んで
ひとりになりたいことがある

ただなんとなく
ひとりになりたいだけなんだ

決して君のせいじゃない
このままじゃ
僕が僕でなくなってしまう
ただそれだけのことなんだ





もしも君が
僕を信じられなくなっていても
どうかもうしばらくのあいだだけ
見守っていてくれないか

不誠実だとは思わずに
思いやりがないと言わずに
気持ちがないと泣き出さずに
見守っていてくれないか

もっと器用な男を探すと言うのなら
引き留めようとは思わない

面倒な男はいらないと言うのなら
振ってくれてもかまわない

情けない弱い男だと思うなら
立ち去ってくれてかまわない

この沈黙が
僕の答えだと決めつけるなら
そう思ってくれてかまわない




でもひとつだけ頼みがある
 
もし君が
別れを決めてしまっても
二度と僕とは会わないと
心を決めてしまっても

僕のこの気持ちまで
なかったことにはしないでほしい

うまく言葉にはできないけれど
君を説得するだけの
つじつまの合う理由などないけれど

好きだと言ったあの気持ちは
抱きたいための嘘じゃない
 
君がよろこぶ顔が見たくて
何だってできそうな気がしてた

あのときの僕は無敵だった
ほんとうの僕より
ずっとずっと無敵だった

ただ君が隣で笑っていてくれたら
それだけで僕は幸せだったんだ


 

我慢を重ねて噛んだ唇も
不安と悲しみに歪んだ顔も
きっと僕のせいだろう
まちがいなく僕の力不足だろう

だけどこれだけは言わせてほしい
僕は僕なりに
君を大切に思ってはいた

その気持ちはたぶん今も変わってない
今だって君を思っているはずなんだ




でも
僕は僕に戻りたい

これだけは絶対に譲れない
「ただなんとなく」なんかじゃない
今はっきりとそう決めた

君を好きになる前の
ひとりの男に戻らなければ
僕が僕でなくなってしまうから

こんな勝手な僕だけど
君に気持ちがまだ少しでもあるのなら
 
どうか信じて待っていてくれないか

しばらくのあいだひとりになって
このひっそりとした沈黙の中で
ゆっくりと軋むような音を立てて
 
僕は僕に戻るから

そしたらまた君に会いに行く
 
理由も気持ちも関係ない

僕が僕を取り戻せたらそのときは
ただ君に会いたくなると思うんだ

ただただ君を抱きしめたいって
 
心から
そう思えると思うんだ









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